短歌というと、古典や学校の授業を思い浮かべて「少し難しそう」と感じる方も多いかもしれません。
しかし、近年の短歌はとても身近で、現代の生活や感情をそのまま映し出す表現として、多くの人に読まれています。
仕事、恋愛、家族、孤独、将来への不安。
そうした言葉にしづらい感情を、31音という短さで切り取る点に、現代短歌の魅力があります。
ここでは、短歌に興味を持ち始めた方や、これから本格的に読んでみたい方に向けて、読みやすく評価の高い歌人・歌集を紹介します。
俵万智『サラダ記念日』
現代短歌を語るうえで欠かせない一冊です。
日常会話や何気ない出来事を、そのまま短歌に昇華した表現は、発表当時大きな話題となりました。
今読んでも色あせることはなく、「短歌は特別な言葉で書くものではない」という感覚を自然に伝えてくれます。
短歌の入口として、まず手に取ってほしい歌集です。
穂村弘『短歌という爆弾』
歌集ではなく短歌エッセイですが、短歌の楽しみ方を知るうえで非常に有用な一冊です。
短歌を「正しく読む」ことよりも、「どう感じるか」を重視する姿勢が一貫しており、
意味が分からない短歌に出会ったときの向き合い方を教えてくれます。
短歌に対して身構えてしまう人ほど、読んでおきたい一冊です。
東直子『春原さんのリコーダー』
生活のなかの小さな出来事や感情を、静かな言葉で丁寧にすくい取った歌集です。
大きなドラマは描かれませんが、その分、読後に残る余韻が深く、
日常に疲れているときにそっと寄り添ってくれるような短歌が並びます。
岡野大嗣『音楽』
言葉の配置や余白を重視した、現代的な感覚の短歌が特徴です。
意味を明確に説明するというよりも、
読者それぞれの感覚に委ねるような表現が多く、
「読む」というより「受け取る」体験に近い印象があります。
短歌の新しい表現に触れたい方におすすめです。
木下龍也『あなたのための短歌集』
誰かに向けて書かれた短歌が多く、感情移入しやすい歌集です。
恋愛や別れ、言えなかった言葉など、
多くの人が経験したことのある感情が、率直な言葉で綴られています。
短歌を通して感情を整理したい人にも向いています。
短歌は「分からなくても読める文学」
短歌は、すべてを理解しなくても楽しめる文学です。
・心に残った一行
・なぜか引っかかった言葉
・説明できない違和感
それらを感じ取るだけでも、十分に短歌を読んでいると言えます。
説明しすぎないからこそ、読む人の経験や感情が重なり、
時代を問わず読み継がれているのかもしれません。
まとめ
短歌は、知識を身につけてから読むものではなく、
興味を持った一冊から自由に触れていい文学です。
気になった歌人や言葉から読み始めてみると、
思いがけず自分の感情と重なる短歌に出会えることもあります。

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