東野圭吾『ラプラスの魔女』科学✖️ミステリー。実写映画化もされた作品を深掘り。

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東野圭吾といえば、『白夜行』や『ガリレオ』シリーズを思い浮かべる方も多いでしょう。ミステリーの名手である彼が描く『ラプラスの魔女』は、科学的思考と人間の宿命をめぐるサスペンスです。2015年に刊行され、のちに映画化もされた本作は、従来の本格ミステリーに加え、SF的な要素や哲学的問いを織り交ぜた意欲作として注目を集めました。

物語は、温泉地で二人の男女が相次いで硫化水素中毒死する事件から始まります。警察に協力を依頼された地球化学の専門家・青江修介は、自然現象では説明のつかない違和感を覚えます。
やがて彼の前に、不思議な少女・羽原円華が現れる。彼女は天候や自然現象を予知するかのように言い当て、青江を驚かせるのです。彼女の力は一体どこから来るのか。そして事件の背後に潜む「ある計画」とは……。

タイトルにある「ラプラスの魔女」とは、18世紀の数学者ラプラスが示した思考実験に由来します。
もし宇宙に存在するすべての物質の位置と運動を完全に知る存在がいたならば、その存在は未来も過去もすべて計算できる――。この“決定論”を象徴する存在が「ラプラスの悪魔」です。
作中では、この概念が「人は未来を知ることができるのか?」「自由意志は存在するのか?」といったテーマへとつながっていきます。

・科学とミステリーの融合
東野作品らしく、化学的な知識や現象がストーリーにリアリティを与えています。専門的ながら読みやすく、理系的好奇心をくすぐる内容です。

異色のヒロイン・円華
彼女の持つ“未来を見通す力”は、単なる超能力的なものではなく、科学と決定論に基づいて描かれます。東野圭吾らしい「合理的な奇跡」の表現が魅力です。

・サスペンスとしての緊張感
硫化水素という現実的な題材から始まり、やがて国家レベルの陰謀や人間ドラマへと広がっていくスケール感があります。

『ラプラスの魔女』は、ただの殺人事件を解く推理小説ではありません。
「未来は決まっているのか、それとも変えられるのか」という普遍的な問いを、科学的かつスリリングな物語に落とし込んだ作品です。映画版で描かれるアクションや映像美も魅力ですが、まずは原作小説で東野圭吾の仕掛けた知的トリックを堪能してみるのがおすすめです。

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