重松清『疾走』一度ついたイメージでその人物が出来がってしまうということがあるんです。そんなイメージに苦しむ人々の物語です。

こんにちは!只野です。今回は重松清さんの『疾走』をご紹介させていただきます。

まずこの作品を読んでいて心に響いたのは主人公『シュウジ』を『おまえは〜と思った』のように孤独なシュウジをいつまでも見守る存在が文章に存在することです。

登場人物からこの話を追って行きたいと思います。

・シュウジ 主人公であり、優秀な兄と比べられながら生きてきたせいかいつも寂しげにしています。

・シュウイチ シュウジの兄であり、小中学はクラスでもトップ。学級委員長も務めるほど優秀です。その優秀さゆえプライドが高い。

・エリ いつも孤独で周り寄せ付けないシュウジの同級生。小学生の時に両親をなくしており神父様を親代わりにしている。

・神父様 死刑囚の弟を持つ。弟の殺人事件は自分が関わっていることもあり罪の意識を感じている。

・鬼ケン シュウジが小学生の時に出会う。荒々しいヤクザ者。

・アカネ 鬼ケンの彼女。シュウジに初めての性を与える。

・徹夫 シュウジの小学生時代の友達で小学生の時はいじめられっ子だったが、中学生になり母がヤクザ者と付き合うようになったことをきっかけに徹夫は人をいじめる側になる。

物語の登場人物は皆『孤独』を抱えています。そして、その解決方法も様々で人を拒絶する者。奪われないように人から奪う者。破滅を望む者など。

この小説を読んでどうしたら良い方向に向くのかを考えました。登場人物たちは自分という存在を外部に委ねていると感じました。周りの意見で『個人』が曲げられてしまうのです。現代でもこの構図はありますよね?いわゆるレッテルというやつですね。思っているより世間というものは狭く、日本というコミュニティはより狭く感じますよね。

一度読んで頂きたいそんな小説でした。

ご拝読有難うございます。