大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 玉結び』 人形浄瑠璃に魂を燃やした半二。時代の移り変わりと共に人々の娯楽も移り変わる。これを読めば人形浄瑠璃をもっと知れる。

こんにちは!只野です!

今回は大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 玉結び』をご紹介させていただきます。

こちらの本は人形浄瑠璃に魂を燃やした半二という男が色々な人に出会い最高の作品を作るというものです。

半二は人形浄瑠璃以外のことが全く駄目な男です。この主人公設定が落語のようですんなり入ってきます。

人形浄瑠璃とは?

「三味線」の伴奏で「太夫」が物語を語る、日本の伝統的な芸能が「浄瑠璃」です。
15世紀中頃に生まれ、その後広く流行した牛若丸と浄瑠璃姫の恋物語の主人公の名前にちなんで「浄瑠璃」と呼ばれるようになりました。
浄瑠璃に合わせて人形を操るのが「人形浄瑠璃」で、太夫、三味線、人形遣いの「三業」が息を合わせて表現する総合芸術です。

http://jorurikaido.com/index.html 参照

半二はどの役割をしているのかと言いますと物語を作る作家さんになります。

『妹背山婦女庭訓』を深堀!!

妹背山婦女庭訓という演目は実際に存在するんです!それではどんな内容か追ってみましょう!

「時代物」[王朝物(おうちょうもの)・王代物(おうだいもの)]の「義太夫狂言」で、帝位を名乗る謀反人・蘇我入鹿(そがのいるか)を倒すために、力を尽くす藤原鎌足(ふじわらのかまたり)・淡海(たんかい)親子とその一派の活躍を描いた作品です。

恋人同士でありながら、入鹿の横暴によって命を落とす久我之助(こがのすけ)と雛鳥(ひなどり)の悲劇を描いた「吉野川の場(よしのがわのば)」、求女(もとめ)という男性に恋をした橘姫(たちばなひめ)と酒屋のお三輪(おみわ)の三角関係を舞踊化した「道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)」、入鹿を倒すためにお三輪が犠牲となる「三笠山御殿の場(みかさやまごてんのば)」が、おもに上演されます。

https://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/kabuki/jp/index.html 参照

自分も調べてみてびっくりしたのですが、近松半二は本当にいたみたいです!そして何を隠そうこの半二が妹背山婦女庭訓を書いたのです。

史実に残る 近松半二

作品の立作者[たてさくしゃ:合作した作者のうち、中心となった作者]・近松半二(ちかまつはんじ)[1725年~1783年]は、江戸時代中期に活躍した人形浄瑠璃の作者で、重厚で変化に富んだストーリーの「時代物」を得意とし、多くの名作を残しました。代表的な作品は「義太夫狂言」として歌舞伎化され、現在でもたびたび上演されています。

半二の作品には、人物の身分や性格、場面の設定などを対照的に描くという共通の特徴があります。その特徴がよく現れているのは「吉野川の場」。舞台には中央に流れる吉野川をはさんで、領地をめぐる争いから互いに反目している太宰家(だざいけ)と大判事家(だいはんじけ)の館が、左右対照に配置されています。

また、花道(はなみち)は特別に2本設置され、それぞれを吉野川の両岸に見立てます。下手側の花道からは雛鳥の母・定高(さだか)、上手側の花道からは久我之助の父・大判事清澄(だいはんじきよずみ)が登場し、川越しに2人がせりふのやり取りをする効果的な演出に利用されます。

https://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/kabuki/jp/index.html 参照

江戸時代の義理と人情 そして哀愁がこの作品には込められてます。

ご拝読ありがとうございます。