近年、コーヒーの楽しみ方は「産地を味わう」方向に進化しています。
ブラジルやコロンビアといった王道豆の安定した飲みやすさも魅力ですが、
“個性派豆”の持つ独特の香りや酸味にハマる人が増えています。
中でも、エチオピア産のコーヒーはその筆頭格。いま、世界中のロースターが注目しています。
■ エチオピア:フルーティでワインのような香り
エチオピアはコーヒー発祥の地といわれ、「モカ」としても知られる産地。
特にイルガチェフェ地区の豆は、華やかな花の香りとベリー系の酸味が特徴です。
ひと口飲むと、まるで紅茶のような軽やかさ。
浅煎りでドリップすると、その香りの豊かさが最も引き立ちます。
エチオピアの豆は、同じ品種でもナチュラル精製とウォッシュド精製でまったく味が変わるのも面白いところ。
ナチュラルは果実感が強く、ウォッシュドはクリーンで爽やか。
同じ産地で飲み比べると、まるで別の国のコーヒーのようです。
■ ケニア:力強い酸味とボディのバランス
エチオピアの華やかさに対して、ケニア産の豆は力強い印象。
黒い果実のような酸味としっかりしたコクがあり、ミルクにも負けません。
浅煎りでも苦味が際立つため、エスプレッソにすると個性が際立ちます。
ケニアAAと呼ばれるグレードの高い豆は、特に豊かな香りで人気です。
■ グアテマラ:香ばしさとチョコレートのような余韻
グアテマラ産は、酸味とコクのバランスが絶妙な“万能タイプ”。
中深煎りにすると、カカオやナッツの香りが引き立ち、アイスコーヒーにもぴったり。
産地の標高が高く、寒暖差が大きいことで、豆に旨みが凝縮されます。
特にアンティグア地区の豆は世界的にも高評価。苦味と甘みのバランスが秀逸です。
■ コスタリカ:ハニープロセスの香り高い豆
中南米の中でも注目されているのが、コスタリカ。
果肉を一部残したまま乾燥させる「ハニープロセス製法」で知られ、
甘く、香ばしい余韻が残ります。
ブラックでも美味しいですが、ラテにするとまるでキャラメルのような香りが楽しめます。
■ インドネシア・スマトラ:深煎り派の隠れ人気豆
深煎り好きにおすすめなのがインドネシア・スマトラ島のマンデリン。
重厚なコクとスパイシーな香りがあり、ほのかな土のような香ばしさが特徴です。
深煎りにしても苦味が嫌な感じにならず、
「夜に飲む一杯」「食後のコーヒー」にぴったりの味わいです。
■ 飲み方のポイント:豆ごとに最適な抽出を
- エチオピア:浅煎り×ハンドドリップで香り重視
- ケニア:中浅煎り×エスプレッソやアイスでキレを楽しむ
- グアテマラ:中深煎り×カフェオレでまろやかに
- マンデリン:深煎り×フレンチプレスでコクを堪能
豆の個性を最大限に引き出すには、焙煎度と抽出方法のマッチングが大切。
同じ豆でも「挽き方」と「湯温」で全く違う表情を見せます。
■ まとめ:コーヒーは“旅する嗜好品”
コーヒー豆は、同じ「苦い飲み物」ではなく、
産地ごとにまるでワインのような個性を持っています。
エチオピアの花の香り、ケニアの果実の酸味、グアテマラのチョコのような余韻——。
それぞれの豆を味わうことで、あなたの一杯が“世界を旅する時間”に変わります。
日常のコーヒーを、少しだけ“個性派”にしてみませんか?

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